2006年05月28日(日)
発見すること:表紙のソリ [豆本製本]
今、せっせと「歌集」を作っています。本の内容は若い歌人さんが作った短歌。初めて造本だけに専念して本を作っているのです。 (この本は完成後納品するところまでが仕事なので自分のサイトで販売することはありません)
少しは慣れたと思っていた製本作業でも、いろいろ発見があるものです。試作品をいくつか作ってみたら、どれも時間が経つと表紙が大きく内側に反ってしまう。なぜ? 少し薄めの本なので、きちんとプレスされていないのか?と思い、遊び紙を増やして若干(気休め程度かもしれない)厚みを増やしてみたものの、やはり不安。 出来てから反ってしまったら取り返しが付かないし。
そこで、困ったときの虎の巻
手製本を楽しむ 栃折 久美子 (1984/12) 大月書店 この商品の詳細を見る |
を開いてみます。 すると、ありましたありました。208ページ。「失敗したときの直しかた」の"表紙のソリ"の項。
「本をつくる仕事は、湿気をあたえては乾かすことの連続である、といってもいいような一面もあり」
とあります。ただの紙を、本の形にする作業の過程では、確かに紙に水で溶いた糊を塗っては乾かす作業が多いのです。湿気がどのように乾いていくか、予測はできても正確に把握することはなかなか困難です。さらに、
「紙は木と同じように、一種の生き物と言ってもおかしくないような性質を持っていて」
とあり、気候や保管方法によっても仕上がりに変化があるとのこと。確かに、湿気の多い季節は製本がしにくいです。乾かないし、紙も妙にしっとりする。雨の日は紙を買いに行くのも躊躇したり中止したり。
さて、ではどうしたらいいかというと。
表紙のソリは完全にはコントロールできないけれど、気をつける点は簡潔。
・手早く糊を入れる(=糊を塗る)こと
・表紙作りと、それを見返しに合体する作業は一続きの仕事とすること
なるほど!と特に留意したのは2つめの注意事項。今まではパーツごとに作業を進めることが度々ありました。たとえば、表紙だけ10冊分つくって、乾燥させる間に本文を縫ったり別の本の表紙を作ったりして、翌日本文と合体させるとか。あとは合体させるだけ!と思うと気分がラクで、10冊以上でも一気に完成できるから。しかし、これもソリの原因となるらしい。
「ボール紙(扉や註・表紙の芯になる紙です)の片面だけしめって乾くということを、二回にわたってくり返すよりも、両面同時のほうがよい、ということです」
合点。というわけで、一冊一冊表紙を作っては合体させて、という作業に切り替えました。水+糊の濃度にも気をつけて丁寧に。この方が効率が悪く緊張の連続なのですが、もともと手作業で時間のかかるものだし、仕上がりが綺麗ならばそれがいちばん。
さてあと9冊。今日は頑張ります。
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Posted by 西イズミ
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