2007年10月20日(土)
OUR DAILY BREAD (邦題:いのちの食べかた) [観る]
試写会で観る。(於・オリベホール)
物語はない。セリフもない。刈り取られるトマト、掘削される岩塩、たくさんの豚、牛、鳥、魚……それらがどうやって「食べ物」になっていくのかという映画『OUR DAILY BREAD』。("いのちの食べ方"なる邦題はすきでない)
例えば、鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥。みたいな光景が淡々と。「鳥」は豚や花にも入れ替わる。あんまりたくさん同じ字を書くと「こんなだっけ?」と不思議な気持ちになるけれど、映像でも同じなんだ!と実感する。なにがなんだかわからなくなってきてもなお、強烈な印象を与え続ける鳥の海。
こんなふうに書くとグロテスクな映画のようだけれど。実際、グロテスクなのかもしれないけれど。とにかく、見たことのない映像ばかりだから「これがこうなるの?」「そういうシステムなの?」「あれは何?」と、驚きやら想像やら不思議さが先に立って頭の中が「わーわー」と興奮して忙しい。
とはいえ、動物が出てくると一体どうなっちゃうのかドキドキしてしまう。そして農薬?らしきものが散布されている場面であっても植物が出てくると少し和む。そんなシーンの切り替え方も絶妙だった。
だだっぴろい場所でウィーン、と巨大ロボットのごとく動くメカ。ちゃっちゃか処理してゆく働く人々。なんてスゴイ日常なんだ!と反射的に思うのだけど、彼らにとってはごくごく普通の毎日なんだよな。とすぐ気付く。いやー、でもやっぱりすごいな。と思っているうちに映画は終わってしまった。ラストのあたりは最初から「きっとそうだろう」と思っていた予想通りの展開であり、絶対にセンチメンタルになりたくなかったのだけどちょっとなってしまった。私は彼らが好きなんだな。
実のところ、ちょっと空腹でホールに入った。「観た後どうなるのかな?」と思ったのだ。結果は…ちゃんとお腹が空いていた。業が深いととるか食いしん坊ととるか図太いととるか。全部なのかな。
◎上映前の小泉武夫、内澤旬子両氏のトークショーも面白かった。鯨の解体を子供に見せるとそれまで「鯨可哀想〜」と言っていた子らも鯨がどんなものか知ることができて、それ以前より鯨を好きになる(そしてちゃんと食べるのだとか)という…。内澤さんの「世界屠畜紀行」は10年間ほど取材期間があったそうで、大変楽しみにこれから読みます。(気付けばずいぶん前に買ってあった)
邦題はそのまま「日々の糧」の方がピンと来る。この映画はいのちの食べ方を説いているわけでも、強いているわけでもありません。
★11月10日から渋谷シアター・イメージフォーラムその他で上映開始。
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Posted by 西イズミ
コメント
よこく(→なぜか漢字で打つとヘンな記号が入る)編をご覧になって大丈夫そうだったらばぜひ。
鳥鳥鳥…この映画だと鳥鳥鳥(略)鶏、って感じです。
とか書いていたらヒッチコックまた観たくなりました。
このトビラヤさんのレビューを読んで見に行きたいと思いました。
「鳥鳥鳥鳥…」てのを目にした瞬間つい「ヒッチコック?」と連想しちゃいました(^ ^;)
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