●大きさの基準は?
厳密なサイズの規定はありませんが、目安はあります。
アメリカに拠点を置く国際的な豆本組織(!)「MBS-Miniature Book Society」では
3インチ(=7.62p)〜4インチ(約10.16p)以下以下を一定の基準としているようです。
「扉や」では、長辺が約9センチ以下になるようにしています。…といっても特に根拠は無く、
私にとって、手になじんで読みやすい大きさであるという感覚的な理由からです。
●西洋うまれ
15世紀ヨーロッパで活版印刷が発明され本の量産が可能になります。
当初は聖書が中心でとても大判なものでしたが、技術の発達と優秀な職人・編集人らの登場によって
本は徐々に小型化し、内容も多様になっていきました。
16世紀には手書きの豆本が発行されていたそうですが、やがて産業革命を経て鉄道が普及すると、
旅に携行できる聖書や娯楽が求められ豆本がいっそう発展していったようです。
「本」が人々にとって身近な存在なるにつれ便利なだけでなく、見て美しく読んで楽しめて
さらに小さく愛らしい「小型本」が生まれていったのだと思います。
●江戸でも大流行!
日本では江戸時代・とくに文化文政の頃(1804‐30)に流行し、それはおもに女性や子供のための娯楽本だったそうです。
「美濃半紙8ッ切大(約14センチ×10センチ)」が標準サイズだったのですが、いちばん小さいものは
1.6センチ角の大きさで「芥子(けし)本」と呼ばれていました。ほかにも雛道具に収まるほど小さいから
「雛本」とか、着物の袖にスッと容易に入る「袖珍(しゅうちん)本」と呼ばれる小型本もありました。
さらに時代は流れ、昭和28年。札幌で発行された「ゑぞまめほん」が火付け役となり、各地で
豆本が発行されるというブームが起きました。近年では「グリコ」の豆本も評判になりましたね。
日本の場合は、住宅事情にも合っているのかもしれません。
●最小記録への挑戦
職人たちの技術が競われて来た歴史も見逃せません。
1965年の世界最小記録は3.5ミリ。およそ30年後の1996年には0.9「ミリ」角にまで小さくなりました!
ロシアで刊行された『カメレオン』という本だそうです。
このような超極小・豆より小さい1センチ以下の本のことは、「マイクロブック」と呼ばれています。
日本の凸版印刷でも0.95ミリの豆本「十二支」を発行しており、同社併設「印刷博物館」の
ミュージアムショップで販売されています。ルーペ・20倍に拡大された本との3点セット。26250円也。