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2007年03月05日(月)

東京こども図書館 [観る]

近所にめっぽうおいしいパン屋があって、そこに行くといつも「東京こども図書館御用達」だかと書いてあり、気になっていた。
そういえば最近、キャラ育成万歩計「てくてくエンジェル」を買ってしまったのだった(じぇるくんの名前”ぞりんげん”)。子ども図書館、散歩にちょうどいい距離だ。行かねばなるまい。と、唐突に行ってみた。

分岐点にあった看板には「子ども図書館まで250メートル」とあるので、ずんずん歩いていたら「子ども図書館まで170メートル」というこちらの方向を向いた看板にたどり着いてしまった。通り過ぎてる。
とはいえこのまままっすぐ戻ると、明らかに「250メートル」看板にたどり着くのは明白。曲がるんだな。どこかで。たぶん。
万歩計に登録した歩幅を思い出し、大体何歩で何メートルになるか適当に計算して、適当に曲がったら、あった。


前置きが長くなったが、東京子ども図書館は、ひとことでいうと夢の図書館であった。昔、車好きの甥っ子にミニカーをごっそりあげたら(おそらく一気にもらいすぎて)しばらくオロオロと目移りするばかりだったのを思い出した。好きなものがいっぱいあると思わず困ってしまう。

館内は「児童室」という子どもが読む本・図鑑、児童書中心のコーナーと、大人向けの書物もある地下の「資料室」にエリア分けされている。もちろんどちらにも大人も子どもも行ける。この日はさらっと児童室をみて、地下の「資料室」へ向かった。

児童書とその研究書や評論、絵本特集の雑誌などが集まっている。背表紙だけでも素敵な装丁の、古い本もずらりと並んでいる。わーわー、と内心興奮しながら本棚をぐりぐり注視していると「何かお探しですか?」と図書館の方が声をかけてくださった。その後、本を借りる手続きをしたときも非常に親切にゆったりと応対していただいた。

静かで本ばっかりあって、本が好きな人がやっていて(これは、並んでいる本をみればわかる)、なんていい場所なんだ〜!と内心叫びながら、本を選び、ホクホクして帰った。

早起きもそうだけど、散歩にも三文の徳はあるな。


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2007年01月20日(土)

映画「それでもボクはやってない」 [観る]

公開初日の初回に近所のシネコンにて。
既に宣伝されまくっていますが、痴漢の加害者にされてしまうフリーター男性の映画です。

何もしていないのに警察に引き渡され、刑事に恫喝され、またたく間に犯人に仕立て上げられていく前半、「何もしていない」と言えば言うほど拘留され続け、主人公の周囲の人々も戸惑い始める中盤、どんなに地道な証拠を重ねても「被告」である主人公に圧倒的に不利な裁判が続く、後半。

この映画はつまり、ずーっと暗くて重くて息詰まるのだ。
それでも面白いのは、なぜか。

1・多くの資料・取材、それらを動かすための膨大な時間がぐっと圧縮された、力ある脚本だから。
2・巧い役者が湯水のように使われ、その魅力が画面中にゆきわたっているから。

1は、それゆえにすさまじい粘着力を保ち、観た後長時間話すネタが尽きない。
2は、特に前半の本田博太郎(この人、異様にチャーミング)、中盤の山本耕史(華やかで性格も良いキャラ。見ていてホッと救われる)に顕著であるが、思い出していくと、母親役のもたいまさこ(出過ぎない、完璧なお母さん)、裁判官の正名僕蔵(顔がすごくいい。ベスト七三ニスト・オブ・ザ・イヤー)、小日向文世(血も涙も"ある"ことを感じさせつつ冷徹で素晴らしくうまい)、弁護士・役所広司(ファイルが似合うのです)、瀬戸朝香(ほれぼれするスーツ姿)、田中哲司(この人をもっと観たい!と思った)、刑事の大森南朋(髪型、表情のヤな奴らしさに唸る)、検事の尾身としのり(視線がねちっこくて好き)芋蔓式になっていく。何よりも主演・加瀬亮は圧倒的なハマり具合。普通の人を普通らしく演じて魅力的。不思議ちゃんじゃないところがいい。

たぶん、もっとドラマチックに作ることはいくらでも出来たでしょう。もしそうしていたら、この溢れんばかりのモヤモヤ感はなく、いろいろメンドクサイことは映画の隅に置いてけぼりにした爽快な一本になったに違いありません。
なるべくそうしなかったことによって、この映画は客席と地続きのグレーな世界になりました。しかし、どこかに巨悪がいるから、グレーなわけじゃないのです。警察のひと、司法のひとが全員正義の味方ではないように。

ラストシーンの主人公の独白は、意志が立ち上がってゆく姿が見えてこころよい。


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2006年12月15日(金)

元禄忠臣蔵第三部 [観る]

夜型生活のまま、仮眠して国立劇場へ。「元禄忠臣蔵」第三部。討ち入りを終えたところから幕が開き、その後の四十七士の残日録が綴られていく。よく言えば余韻のある、とも取れるが、フェイドアウトの幕引きが多いのは個人的には好みでない。舞台を埋め尽くす浪士たちが勝ちどきをあげる場面は壮観。雪景色の舞台美術も美しかった。
忠臣蔵といえば、みなもと太郎氏が描いた播州赤穂の言葉で描かれた漫画+エッセイ「仁義なき忠臣蔵」をいつも思い出す。まんま仁侠映画フォーマットの忠臣蔵、という作りが非常に印象的。面白い!「冗談新選組」(イースト・プレス)に収録されております。

終演後、併設の資料館でポスター展があると知り、そちらへ向かうとずらりと遠くまで人が並んでいる。これから夜の部もあるのだから出待ちではあるまい。
一方、楽屋口からは次々と役者さんが出てくる。遠くから見えたのは、歌昇さん、三津五郎さん。芝雀さん、信二郎さん、幸四郎さんなど、衣装のままの方もいる。全員が誰かが来るのをじっと待っていた。夜の部を観劇しに来た人や私と同じくたまたま通りかかった人はその豪華な面々に思わず足を止め、同時に「誰が来るのだろう?」と不思議そうにしていた。
ほどなく2台の車がすーっとやってきて、役者さんが一斉に手を合わせた。ああ、とその場に漂っていた疑問が一気に氷解してゆく。車のドアが開き、掲げられたのは先日亡くなられた松竹の永山会長の遺影であった。私たちも手を合わせて車を見送った。車が去った後、その場はすぐに「夜の部」へ向かって動きはじめる。
はっとしつつ、私も資料館へ歩き始めた。ほんの五分ほどの偶然の出来事。あらためて合掌。


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2006年08月14日(月)

「手作り本と手作り蔵書票」展 [観る]

画像(127x160)

本型ブローチ

ジュンク堂池袋店9Fで9月15日まで開催されている「手作り本と手作り蔵書票」展、やっとやっと観て来ました。
まずは壁面にずらりと並んだ蔵書票を拝見。木版、消しゴム版画、ゴム版画、銅版画…、実物の存在感はやはりちがいます。小さいのに不思議な生命感があるのがいいです。版画の味わいというか、複製できても全く同じものにはならないような雰囲気が、その理由かも。
また、繊細な世界が描かれたり、柔らかいタッチだったり、ざっくり大胆だったり、多彩な世界が並んでいるのも快くて「蔵書票ってどういうもの?」「どうやって作ったらいい?」と悩まずともよいのだなと改めて感じた。小さいけど奥深くておおらかで、私の好きな切手と蔵書票はなんとなくイメージが似ている。

ジュンク堂独特の気持ち言い本棚に誘導されつつ、平台の豆本展示へ。ここで、気になっていた中尾エイコさん作のブックブローチを発見。どれにしようか悩んで悩んで、画像の渋い色のマーブル模様のものにした。マーブルもすべて模様が違いますし、本はちゃんとひらくことができます。小さいのにとても綺麗なつくりで愛らしい。

中尾エイコさんのサイトの、販売商品一覧というページにてブローチの画像が見られます。

蔵書票・豆本作品も販売されておりましたが、誘導された本棚にて欲しい本をドンドンドン、と見つけてしまい手持ちがなくなってしまい、唸りながら鑑賞するばかり。日を改めてまた買いにいってしまうかもしれない。

ジュンク堂9Fの下りエスカレーターから見える夕暮れ時の空、秩父の山?のシルエットが浮かんでとても美しかった。


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2006年08月13日(日)

コミックマーケットC70 [観る]

画像(150x118)

赤い糸のふたり

おそらく4回目くらいの夏コミ。未だ毎回「こんなに人がいるところ見たことがない…」と驚く。私にとっては最も人口密度の高い本の市。商売っ気のない(単に商売っ気のある本とご縁がない)趣味性の高いすごくよい本が見つかります。絵本や研究本、エッセイ・小説など、「コミック」以外の本もたくさん。もちろん、漫画の中にもヨイ感じの本が多々あります。

私が毎回非常に楽しみにしているのが「オンツァケスの森」という夢日記の漫画。「他人の夢の話」といえばツマラナイ話の代名詞みたいなものですが、このサークルによる杉浦茂ばりのアジのある絵できっちり描かれるそれは、自分も夢を見ているような気持ちになれる不思議な世界。何度も読み返してしまいます。
「マンガ市場ドットコム」にて一部読めます。(全部のページを閲覧するには会員登録が必要です。利用料金はかかりません)

今回初めて買ってみた「チョコミンツ」さんの小さな絵本も良作。サリーというちょっと変わった女の子の話と、カラスの女の子の話が2冊セットになっていて、両方とも浮遊感・開放感があるすいすいとした絵でとても心地よいです。
チョコミンツさんのサイト http://chocomints.at.infoseek.co.jp/

その他、ダンゴムシ模様手ぬぐいとか、画像の弥次喜多キューピーなど本と並んでグッズを作っているサークルもあります。
カプリチャナさんのサイトで、手ぬぐい実物が見られます。
ダンゴムシの他に微生物手ぬぐいの画像もありました!ほしい。消しゴムはんこで作られているそうです。手ぬぐいのほかに、ぬいぐるみも作られています。

○弥次喜多キューピーの販売サークル名はわからなくなってしまいました…。

そんなこんなで、2時間くらい会場をぐるぐると回っては本が増えていき、充実感を持ってお昼すぎに帰りました。
私にとって即売会は、人気・不人気で判断するのではなく自分のカンで面白いものを探す喜びがある場所。これは書店や図書館でも同様かもしれませんが、書店に並ぶ作家とくらべ圧倒的に無名の書き手が多いぶん、同人誌即売会の方がその楽しさは大きいのです。


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プロフィール

西イズミ

扉や(とびらや)

豆本と猫雑貨製作

西イズミ

http://www.tobiraya.net/
twitter : @brunnen_
インドアな本好き。猫の飼い主、豆本作家、雑貨作家、イラストレーター。
現在3冊の既刊があります。その他、猫関係のお仕事をときどき雑誌やテレビでしております。
☆「猫がよろこぶ手作りグッズ」(WAVE出版)
☆「猫との暮らしを楽しむヒント228」(河出書房新社)
☆「作ってあげたい猫の首輪」(河出書房新社)

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