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2019年04月16日(火)

春になってしまった その3

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鳴くちから

この記事は「春になってしまった」「春になってしまった その2」の続きです。
 
何度かペーストのごはんをあげているうちに、どうも、食べたい時に震えるな…?と気がつきました。食べる意志はあるのかもしれない。
でも鳴くこともなく、視線をうごかすこともほとんどなく、寝ているかと思えば目は開いていて、眠ることもできないのだろうか…となにをどうしたらいいかわからない状態でもありました。
2時間置きくらいにシーツのぬれを確認し(濡れているとそれはそれで安心でもあった)、床ずれしたらいけないのでときどき向きを変え、食べそうならいつでもシリンジでえさをあげていました。水はスポイトであげることにしました。口の中を湿らせるようにすこしずつ。
貧血がひどいので歯茎が白くなっていると言われていました。肉球も白い。というか、つめたい。にぎってもにぎっても、あたたかくならない。
でも、がんばって、と思うことも出来ません。もう1年も頑張ってきたのです。

なにか人間が出来ることを探しました。体が動かせないので、ニーニャは毛づくろいが出来ません。そこで、蒸しタオルを作り、全身に蒸気だけをあて、すぐに乾いたタオルで拭いてあげました。ほんの一瞬のことですが、すこしだけ毛並みが整いました。どちらかというと、自分の気休めにしかならないかもしれないね、ニーニャちゃん気持ちいいかねえ、と話しかけても猫はただじっとしていました。

数日の間に「チーズ仕立て」以外にもペースト状のえさを食べるようにはなっていました。ほんのわずかでも食べていることに嬉しさを感じましたが、昼間でも瞳孔が開いているのを確認して、やっぱり、と覚悟をしました。ずっと覚悟しながら、近くに布団を敷いて寝て起きて、えさをあげて向きを変えて、シーツを替えて、水をあげてえさをあげて、体を拭いて窓辺で日光浴させてみて、気がつくと久しぶりにうんちをしていて、おおすごいとシーツを替えて、水をやってえさをやって時々その時が来たらどうしようと考えながらウトウトしていると「にゃあ」と聞こえて、「ごはんかい」と話しかけると布団の中に入りたい様子で、布団にうつして一緒に寝たりしました。

そうして、気がついたらですね、どんどん「にゃあ」と催促する機会が増えました。えっ。シリンジでは足りなくなり、舌でえさを舐めとることができるようになり、シリコンのスプーンから直接ぱくぱくと食べるようになりました。いつしかぷるぷると震えることもなくなりました。足はしばらくききませんでしたが、よいしょ、と猫ベッドをまたぐことは出来るようになりました。また自分でトイレに行くようになりました。

何があったのか今もよくわかりませんが「その時」はもう少し先なのでしょう。気がつけば、普通に歩いてごはんを食べてベッドで丸くなって寝ています。もちろん若い頃のように超元気ではないけれど、冬を乗り越えて春になった今は、耳がピンとして鼻は濡れていて肉球はピンク色で、しっぽがちゃんと動いているんです。生きている。すごいことです。一日一日がんばってくれているのです。えらい。
人間もがんばります。

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2019年04月15日(月)

春になってしまった その2 [日常]

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この記事は「春になってしまった」の続きです。

ニーニャはみるみる悪くなってしまい、ベッドの中で箱も作らず丸くもならず、ばったり倒れているかのような姿勢でいます。どこも動かさず、じっとしています。

当然トイレにも行けないので、ペットシーツをフリースの布ではさみ、ベッドに敷いていました。フリースなら洗ってもすぐ乾くのでちょうど良いサイズに切って何枚か用意しました。濡れていたらどんどん替えて、足りなくなったらタオルでもなんでも使っていました。

さて、そんな状態の猫に何を食べて貰えばよいのでしょう。「ごはんだよ」とまずはマグロ系の缶詰を指先にほんの少し出して鼻先に近づけてみますが、食べることができません。舌で舐めとることが出来ないのです。
固体は無理か。それではこれだ、とシリンジにペースト状のおやつをつめていきます。ちなみにこのシリンジは「水が飲めなくなったらこれであげるといいよ」と1年前に病院の先生からもらったものです。ペーストは「チーズ仕立て」と書いてあったやつ。ニーニャはチーズの匂いが好きなのです。
ごめんよー、と言いつつシリンジの先を口のはしにさしこみ、ほんの少し中身を押し出しました。すると、なにやらハッ!としたように頭を少し起こし、ふらふらふらふらと上体を左右に震わせはじめました。

「けいれんが起きるかもしれない」と、これまた1年前に腎不全の診断が出たときに先生から言われた言葉を思い出していました。
ついに看取らなければいけないのかも。でも1年間どんなにこの子はがんばってくれただろうか。えらい!と思いつつ、チーズ味だよ〜とか言いながら、ぷるぷる左右に震えつづけるニーニャの口にすこしずつペーストを押し出していきました。こぼしながらも、チーズ味は割と好評なようでした。
これは追加で買わなければ!!

期待を込めてドラッグストアにフードを買い足しに行くのでした。

もう一回つづく。

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春になってしまった [日常]

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とにかく反応がなかった

私は今、サイトを直しに直しています。でも全然直っていません。かれこれ3…、いや4ヶ月は経っています。ちょっとレイアウトを直そうと思ったらなにやら迷路に入り込んでしまい後の祭りです。新学期も一週間経ち、花粉もピークを過ぎ、桜も散りゆく今、いろいろあったけどトップページくらいはなんとか…と作業している最中、ちらっとブログを見たら1月のままで「ええっ!心の中ではあれもこれも書いたつもりだったのに!!!」と現実に打ちのめされたので、ひとまずブログを更新することにしました。

いろいろの中のひとつに「猫が死にそうだった」というのがありました。我が家に猫は二匹いますが、18歳の雌・黒白のニーニャが厳寒の2月にがっくり体力を落としたのです。以前から度々体調を崩し、1年前に腎臓がえらく悪いと診断を受けていましたが、3日に2回くらいは点滴し、血尿が出たら薬を飲ませ、なんとかかんとかやってきていました。
 が、2月のそれは明らかに異変であり事件でした。
めっきり冷え込んだときに食欲が極端に減り、ドライフードを水でふやかしても小さい粒のものにしても、具合が悪い時用の療法食の缶詰にしてもほとんど食べません。
かかりつけの病院に行くと「もう、療法食とかでなくていいからとにかくカロリーのあるものをあげましょう」とのこと。
痩せたせいなのか貧血のせいなのか足元もふらふらとしています。特に後ろ足がきかず歩こうとしてもばったり倒れたり。

なんでもいいからカロリー!とすぐに買い出しに行きました。今はドラッグストアにも高齢猫用のフードがたくさんあり、やわらかい缶詰やおやつのペーストをどっさり買うことができました。どれかは食べてくれるように。

すみません、思い出したらどんどん長くなったのでいったん「続き」にします。

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2019年01月16日(水)

新年 [日常]

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五段目

あけましておめでとうございます。
今年は猪年ですので「仮名手本忠臣蔵」
五段目の猪であります。とてもラッキーなやつなのです。

そして、干支が一回りしたので子年の仁木弾正から続けてきた、歌舞伎ネタで消しゴム版画を作るのもこれで最後です。その頃とは大きく状況も変わり、ここ数年は12月がイベントだらけで、年賀状は来たものに返すだけでいっぱいいっぱい、枚数が減ること著しい感じでした。それが時の流れとも思います。

ひとまず目的が達成できたので良かった良かった。
今年もよろしくお願いいたします。

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2018年12月06日(木)

顔見世大歌舞伎 [観る]

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何かと似ている

来年のことを語ると鬼が笑うと言いますが、先月のことを振り返ると鬼はチッと舌打ちなどするのでしょうか?
先月の顔見世大歌舞伎の話です。

11月。30日しかない11月。
行事の多い11月。
でも猿之助さんの「法界坊」が観たい! 法界坊をやる猿之助さんだよ?
ばったばたしながら駆け足で夜の部に行きました。
間違いなくチャレンジングな演目であるので、席に着くまでは気張っていたのですがあまりにも自然に楽しい舞台で、法界坊奔放!おくみちゃん可愛い!野分姫一途!要助…説得力のあり過ぎる男前。そして道具屋甚三の歌六さん渋い強いかっこいい。最高です。
…気づけばめちゃくちゃリラックスしていました。歌舞伎はいつ行っても心から落ち着く空間です。

イラストは、つづらを背負った商人を見て思った「あっウーバーイーツだ!」です(千成もなかは巣鴨にあります。おいしいです)。

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プロフィール

西イズミ

扉や(とびらや)

豆本と猫雑貨製作

西イズミ

http://www.tobiraya.net/
twitter : @brunnen_
インドアな本好き。猫の飼い主、豆本作家、雑貨作家、イラストレーター。
現在3冊の既刊があります。その他、猫関係のお仕事をときどき雑誌やテレビでしております。
☆「猫がよろこぶ手作りグッズ」(WAVE出版)
☆「猫との暮らしを楽しむヒント228」(河出書房新社)
☆「作ってあげたい猫の首輪」(河出書房新社)

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